みなさんは「オーバーチュア」という言葉をご存知でしょうか?
40代以上のWEB広告従事者の方でしたら馴染みがあるかもしれません。
「オーバーチュア」は今でいう、Yahoo!でのリスティング広告のことを指しています。
かつてはオーバーチュア広告と呼ばれていたのです。
【オーバーチュア広告の変遷】
・2002年オーバーチュア株式会社が「オーバーチュア広告」として検索連動型(リスティング)広告のサービスを開始。当時の広告掲載先はYahoo!JapanやMSN、infoseekなど
・2009年ヤフー株式会社と合併し、「Yahoo!リスティング広告」と名称変更
・2011年「Yahoo!プロモーション広告」に名称変更。今に至る。
日本のリスティング広告の始まりは、Yahoo!(当時はオーバーチュア)・Googleともに2002年、今から約15年前です。
サービス開始の2002年から約7年後の2009年に名称変更していますから、Yahoo!リスティングの歴史のまだ半分は「オーバーチュア時代」が占めているということになりますね。
今でもリスティング広告は頻繁に新機能のリリースや仕様変更がなされています。
しかし、その歴史を辿ってみると大きな転換点がいくつかあります。
今回はオーバーチュア広告の変動を中心に、大まかなリスティング広告の歩んできた歴史について話していきたいと思います。
◆完全オークション方式時代
オーバーチュア広告が開始された2002~2007年までの5年間、キーワードの入札方式には【完全オークション方式】が導入されていました。
つまり、入札価格を上げれば上げるほど、広告の掲載順位が上がるということです。
当時は現在に比べリスティング出稿企業が少なく競合性が低かった(=クリック単価も安い)とはいえ、やはり資金が潤沢な企業に有利であり、それ以外の企業には不利な入札形式でした。
◆Panama(パナマ)システムへの移行
そして2007年にオーバーチュアの入札方式は大きく変わります。
現在も採用されている【入札価格×品質スコア】で掲載順位が決定される広告ランク方式に移行したのです。
「Panama(パナマ)システム」の語源はパナマ運河からきています。パナマ運河のように大規模なシステム、という意図があったようです。
ちなみにこの広告ランク方式、Googleではいつから始まっていたのかというと、2002年のリリース時から既に導入されていました。
1996年に生まれたGoogleが、わずか数年でその規模を拡大し広告展開、さらには現代まで採用される品質スコアというロジックを編み出しています。
本当にGoogleの躍進力には驚かされます。
当時、両媒体で「品質スコア」の定義は若干異なったものの、少なくともオーバーチュアはGoogleのシステムを参考にしていたのでしょう。
この広告ランク方式の導入によって、広告予算が少ない企業も運用次第で大企業に太刀打ちできるようになりました。
◆Googleの広告配信システムを採用
2009年、「オーバーチュア広告」が「Yahoo!リスティング広告」に名称変更します。
そして2011年、これまでYahoo!とGoogleはそれぞれ独自の広告配信システムを採用していましたが、ついにYahoo!がGoogleの広告システムを採用し始めました。
SEOでもYahoo!がGoogleの検索システムを採用したのが2011年ですから、同時期にリスティングのシステムも採用されたということになります。
これに伴い、名称も現在の「Yahoo!プロモーション広告」に変更となります。
◆さいごに
今回、大規模な転換点のみ紹介しましたが、リスティング広告はこの15年の間に小規模~大規模な仕様変更がいくつもなされています。
現在では当たり前のようにデバイス別の配信設定や配信地域設定、広告の最適化配信ができていますが、どれも過去には設定できなかった機能です。
さらには昨今ではコンバージョンに至ったユーザーの特性を紐解き、それに類似するユーザーの抽出や、クリックせずに広告を見ただけのユーザーの確度までシステムで簡単に割り出せる時代です。
リスティング広告は配信条件の選択の幅が拡がっていくことで、広告主側にも代理店側にもとても身近な広告となりましたが、これがリスティング広告の市場が今もなお伸び続けている要因と言えるのではないでしょうか。